今なお、いやまだ始まったばかりと言える”コロナウイルス”の驚異ですが、先ずは残念ながら亡くなられた方々に心よりお祈り申し上げます。
そして日本・タイをはじめ世界中で大変な思いをされている方、病院をはじめとする医療従事者・クラスター対策班の方々に、最大限のエールを贈らせて下さい。
本日現在で、コロナウイルスの感染者は400万人を超え、亡くなった方々は30万人を超えました。また、経済にはとても深刻なダメージを与え、一説には1929年の世界恐慌を超える経済危機とさえ囁かれています。
確かに僕の住むタイでも、飲食店をはじめ多くの企業・個人が経済的に苦しめられ、会社の倒産や個人の自殺を毎日のようにニュースで目にするようになりました。
これからの世界は、一体全体どのようになってしまうでしょうか?
ニューノーマル(新しい日常)が始まった

海外の英語ニュースを見ていると、最近は”New Normal”という言葉を多く目にします。New Normal/ニューノーマルとは、日本語では新しい日常と訳します。
ニューノーマルという言葉は2007〜8年に起こったリーマン・ショックに流行したバズワードのようで、異常だった非日常が当たり前になった状態(新しい日常)のことを指すようです。
確かに今回のコロナウイルス騒動は一向に収まる気配は見えず、国や地域(特にアフリカなど)によってはピークすら迎えてないのではないかと思える状況です。
また、すでに感染を完全に封じ込めた台湾・ベトナムなど、そして近いうちに封じ込めが期待できる僕のいるタイやニュージーランドでさえ、第二波がいつ襲ってくるかは誰にも分かりません。
実際にシンガポールや韓国がまさにそうで、ここへきて急激に感染者が増加しています。
コロナウイルスはもはや日常の一コマなのかもしれない
このような状況がこれからも続いていくのであるなら、それはもはや異常事態・緊急事態ではありません。日常の一コマであり、まさに”新しい日常(ニューノーマル)”と言えます。
実際、(医療従事者の支えで死者数を押さえ込んでいる)日本もついに自粛解除に踏み切りましたし、感染者・死者ともに多いアメリカやフランスさえLockdownを解除する動きです。
確かにこのままで経済に大きなダメージを追いますし、それによって影響を受ける人口の方がコロナウイルスによってダメージを受ける数よりも、膨れ上がる可能性は十分にありえる話です。
一方、スウェーデンではLockdownなどは一切せず、いわゆる”緩い”対策を最初から最後まで貫き通しました。これには賛否両論ありますが、国内ではかねがね評価されているようです。
まだどの国の対策・政策が成功だったかに結論を出す時期ではありませんが、”コロナウイルスが日常である”という点に立って今後を議論することには、大いに意味があるはずです。
コロナウイルスで起こった3つの変化

2019年11月末に中国・武漢で発生したと言われている今回のコロナウイルス。ニュースでよく見られるようになった1月中旬ごろから、僕はそれについて食い入るように調べていました。
僕には1歳半になる娘がいますから、彼女を感染させないためにずっとコロナウイルスの動向を追っていたわけです(幸にして、僕の住むタイでの感染者は下り傾向にあります)。
しかし、僕が今、最も注目しているのは、その間に世界中で起こった3つの大きな、そして不思議な変化についてでした。
- 働き方の変化
- 大気汚染・環境負荷の激減
- 開疎化
※なお本日、この記事を書いた理由は、これらの変化について博識ある読者の皆さんとたくさんの意見を交わしたかったからです。ぜひ記事最後のコメント欄や、僕のTwitterまで意見を寄せて下されば幸いです。
働き方の変化
以前から一部のIT企業で既に変化の兆候は見られていましたが、コロナウイルスの影響により働き方は大きく変化しています。
例えば、IT企業のみならず老舗の大企業が在宅勤務を導入したり、僕がタイで働く会社の本社は古い体質の製造業種ですが、一部テレワークの導入を開始しました。
つまり体質の古い日本でさえ対応せざるおえない凄まじい勢いのベクトルが、このコロナウイルス騒動であると言えるかもしれません。
特に日本においては自粛期間中である4月の自殺者が減ったことから、この流れは仮にコロナウイルスが終息しても、きっと完全には元に戻らない(戻れない)はずです。
僕ら若い世代のみならず、多くの大人たちが気付いてしまいました。家にいる時間が増えたことで、会社よりも大切にすべきもの(人)が実は身近にあることを。
大気汚染・環境負荷の激減
NASA(米航空宇宙局)が観測したデータによると、Lockdown期間中のニューヨークの大気の状態はここ数年間で最も美しかったそうです。
CO2排出量は大きく減少するという驚くべき現象はアメリカのみならず、中国・インドをはじめ多くの国々で見られました。
今まで多くの国や企業が取り組んだ一切の活動よりも、”経済を止める”という行為こそが最も気候変動に大きなインパクトがあったという意味にほかなりません。
かと言ってこれから未来永劫、経済を止めることなど当然不可能なわけです。
しかし、この事実が(こういった形であれ)明らかになったからには、経済至上主義から「地球と共存する」という意識が、今より一層強くなるだろうと見ています。
開疎化
アメリカやドイツなどの経済がいち早く再開された(される)国々では、飲食店をはじめどのように感染を抑制しながら営業するかが焦点に上がっています。
例えばリトアニアのカフェは、政府主導で公共スペースに椅子とテーブルを並べて運営を再開しました。一方、僕の住むタイではレストランの席数を減らして運営するためのガイドラインを徹底しています。
僕が最近大注目させてもらっている方に、ヤフーCSO兼慶應義塾大学教授の安宅和人さんがいます。この方が面白いことを言っていました。
「今まで密・密閉状態だったあらゆるものが、間違いなく疎・開放に向かっていくだろう」
まさにこの流れは一足早く経済を再開させた国々では見られる事象で、国だけではなく企業、または個人(都市部・満員電車を避けるなど)にも波及しています。
\安宅和人さんの著書/
SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?

突然ですが、2015年9月の国連サミットで採択された”SDGs”をご存知でしょうか?
SDGs/Sustainable Development Goalsとは、日本語では”持続可能な開発目標”と訳され、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継とする新たな国際社会共通の目標です。
貧困・環境・働き方など「全17のゴール・169のターゲット」から構成され、2030年までに”地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)”を合言葉に、世界193の国々が参画しています。
上ではコロナウイルスで起こった3つの変化を紹介しましたが、ニューノーマルにおいて僕らはこの国際社会共通の目標(SDGs)について進化に取り組むべき時期にきているのかもしれません。
以下に、いくつかの国や企業の取り組み例を載せました。
日本企業(経団連)の取り組み
コロナウイルス状況かの現在、経団連より14日に新型コロナ感染予防対策ガイドラインが公表されました。そのガイドラインには”週休3日制”という項目もあります。
日本マイクロソフトが昨年8月から取り入れた”週休3日制”は記憶に新しいですが、いよいよ他企業・他業種であっても本格的に取り入れる会社が増えることが予想されます。
SDGsには、”働きがいも経済成長も”と”産業と技術革新の基盤をつくろう”という、2つの働き方に関する目標があります。
確かに今回議論に上がっている週休3日制は、感染症対策のために3密を回避するため、または経済の低迷によるワークシェアが目的と消極的なスタートではありました。
しかし、日本の生産性を上げるための方法だったり、ワークライフバランス(ワークアズライフ)をいかに実現するか、などが積極的に議論される良い機会になるはずです。
小田急電鉄(ルビコン・グローバル)の取り組み
SDGsにおける環境への取り組みは、”エネルギーをクリーンに そしてみんなに”と”気候変動に具体的な対策を”という2つの目標があります。
これに関して、今とても注目されているのがサーキュラー・エコノミー/Circular Economyという考え方で、日本語では”循環型社会”と訳されます。
つまり従来のTake(資源を取る) → Make(それを作る) → Waste(そして廃棄)という直線型の経済ではなく、最終的に捨てられる「製品や原材料に新たな価値を見出し」循環させる経済のことを指します。
オランダがこの分野の最先端とされていますが、日本でも小田急電鉄がアメリカのユニコーン企業であるルビコン・グローバルと提携し、資源の浪費や廃棄物を減らす取り組みを開始しました。
コロナウイルスによる世界的な経済ストップは、僕たちの暮らす地球環境について考えるための試練となったのではないでしょうか(僕もその一人です)。
ドイツ(ベルリン)の取り組み
安宅和人さんが提唱する”開疎化”については、一見SDGsとは全く関係ないように感じます。しかし、この取り組みは環境にも働き方にも大きく関わってくるだろうと、僕は強く感じています。
例えば、ドイツ・ベルリン議会は4月末にBerliner Stadtgrün 2030を通して、”都市の緑地や都市のオープンスペースの確保・保全に一層の力を入れる”と公表しました。
都市のグリーン計画の一環として、ドイツでは以前より市民が農業を楽しむ”ガーデン(畑)の賃貸システム”が人気ですし、都市部に住む多くの市民が週末を田舎で暮らしています。
コロナウイルスが人口密集地帯を中心に蔓延したことで、今までは花形であった”都市部で生活する”という行為が確実にリスクになる時代が訪れようとしています。
テレワークでも働けることに僕らが気付き、それにより都市から自然の多い田舎へ引っ越す人も増えていくと予想され、心身・地球に優しい生活にシフトする転換期となるはずです。
\SDGsのおすすめ著書/
新しい日常を作るのは僕ら一人一人なんだ

ここまで、コロナウイルスがもたらした世界が替わるための3つきっかけ(変化)と、SDGsの概略・国家や企業の取り組み例を通して、僕が思うニューノーマル時代のあるべき姿を書かせてもらいました。
ただし、コロナウイルスの影響が気候変動へプラスに作用したり、僕らの働き方が週休3日制に見直されたり、良い変化が長続きするとは限りません。
世界経済がストップ・縮小している現在、経済活動の立て直しにフォーカスばかりされる可能性があり、働き方の改善や地球環境への取り組みは後回しになってしまう懸念があるからです。
これを良しとするのか、新しい日常が人にも地球にも優しい世界にしていくのか、全ては僕たちのマインドと行動にかかってます(僕は後者でありたいと強く思います)。
今回の記事が、ニューノーマル時代を考える小さなきっかけになれば、とても嬉しいです。
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