家族の死に目に立ち会って感じたこと。だから僕らは愛する人のために強く生きなきゃいけないんだ。

人の死というのは本当に唐突にやってくる。僕は30歳を過ぎるまで、人の死に直面したことがなかった。小学生に上がる前におじいちゃんが死んだことはあるけど、病院に到着した時にはすでに逝ってしまっていた。

当時の幼い僕はとても悲しかったのだろうと思う。しかし、今となっては20年以上も過去のことであり、ほとんど記憶にない。だけど、とても不思議に感じた記憶はある。

あれから20年以上が経ち、初めて人の死に目に立ち会った。その人は、僕の大切な奥さんの大切な人、僕にとってはお義父さんだった。

初めて人の死に目に立ち会ったときの気持ちを忘れないために、僕はここに全て洗いざらい書くつもりだ。とは言ってもただの日記だから、あまり大きな期待はしてもらいたくない。

 

初めて会ったときにはすでに昏睡状態だった

僕は奥さんと、今から数えて4年前に知り合った。そのときの馴れ初めは恥ずかしくて書けないけれど、なぜか付き合うことになり、のちに結婚した。

初めてデートしてから何ヶ月が経ち、実家に呼んでもらえることになった。そして出会ったのが、彼女のお義父さん。しかし、様子が少し違っていた。

お義父さんは寝たきりで、昏睡状態だったのである。身体は痩せ細り骨が浮かんでいて、喉に管のようなものを付けていた。タバコやお酒のせいで、倒れてしまったと聞かされた。

普通の男だったら逃げ出すところかもしれない。現に、前の彼氏からお義父さんが昏睡状態になってから、別れを告げられたそうだ。

だけど僕はそうしなかった。なぜ逃げ出さなかったのかは今になっても謎のままだけど、とにかく僕は当時の奥さんとそのままお付き合いをした。

 

昏睡状態とはこんなにも長く続くものなのか

その後、僕たちは日本とタイと遠距離恋愛になり、年に何度かしか会えない日々が2年くらい続いた。その間、遠くにいるお義父さんはずっと昏睡状態のまま。

初めて会ったときに倒れてから1年が過ぎたと聞いていたから、昏睡状態になってからかれこれ3年近くが過ぎようとしていた。

訪れるたびに弱っていくお義父さんの姿もそうだけど、ずっと懸命に介護をする奥さんのたくましくて優しい姿も、同じくらい鮮明に記憶している。

それにしても、昏睡状態とはこんなにも長く続くものなのか。本人は当然として、その家族も同じように、いやもしかしたらそれ以上に苦しい時間なんだと、強く感じた。

お義父さんの弱り果てた姿を見るたびに、「生きることは誠に苦しく辛い」という、子どもの頃に見て理解ができなかった映画『もののけ姫』のワンシーンがいつも脳裏によぎった。

 

初めて人の死に目に立ち会った

タイに移住してから数ヶ月が経つ頃、お義父さんの容体が急変した。もともと昏睡状態ではあったけれど、それとは比べられないほど弱っていた。あれは遅めの夕食を終えて、ひと段落した頃だったと思う。

見ていてとても痛々しく、そして悲しくなるような姿に、僕の胸は締め付けられた。すぐさま病院に向かう準備をしていたとき、とても不思議なことが起こった。奇跡と言っていい。

全く意識もない昏睡状態のお義父さんが、急に涙を流し始めたのだ。それはまるで、自分の最期を悟ったかのように。こんなことってあるだろうか。

車にお義父さんの身体を運んでいるとき、僕の両腕に急に鈍く重いものを感じ、そのとき息を引き取ったのだと知れた。それでも僕らはお義父さんを車に運び、病院に急いだ。

お義父さんを抱きかかえた奥さんは、僕の隣で静かに泣いていた。病院に到着し、すぐさま緊急処置をしてもらったけど、お義父さんが目覚めることはなかった。

 

愛する人のために強く生きよう

お義父さんが死ぬ間際に流した涙について、今でも僕はよく考えることがある。あれはきっと、娘さん(僕の奥さん)や家族に対する感謝だったんじゃないかと。

「昏睡状態で大変な思いをさせたね、ありがとう」という感謝の気持ちだったと思うんだ。お義父さんの死はとても悲しいことだけど、最期はきっと幸せだったんじゃないかな。

昏睡状態で弱った身体にも関わらず、愛する娘のために懸命に生きたお義父さん。以前、昏睡状態は家族も苦しい時間だなんて斜めに構えて、本当にごめんなさい。

お義父さんの娘さんが最近言っていました。「あのとき死んでもおかしくなかったお父さんと、4年間も寄り添うことが出来て幸せだった」って。

天国から僕らを見守っていて下さいね。これからは僕が、お義父さんの代わりに娘さんといつも寄り添い、そして強く生きていきます。ありがとうございました。

 

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